小説「それから」に続き、森田芳光監督映画『それから』を見ました。
主人公の代助を演じるのは、今は亡き松田優作さん。亡くなられて2426年も経つんだわね。
この映画で主人公の長井代助を演じたのは彼が、35歳、役者としても輝いていた時期だった。
最初、配役を知った時、代助-松田は予想外だったけど、今見直してみるとなかなかの好演。
兄嫁役の草笛光子さんは、年齢的にちょっと無理が…と思ったけれど、全編通してみてみると成立してます。主人公の代助とウマが合うという兄嫁の役ですが、松田優作さんとの相性が良いから、2人のシーンがとてもいい。
残念ながら、父親役の笠智衆さんは、キャスティングミスかなあ。
笠智衆さんは、大好きな大好きな俳優さんです。
でも、幕末を生き抜いてきた暴れん坊、気骨あふれる父親像としてはちょっと。
笠智衆さんは、静かにものを言う優しい父親とか、住職というイメージだから。
オイオイ頼むよ、と思ったのは書生役の羽賀健二さん。
明治の話し方が全然できていません!
「そんなものですかな」というセリフすら、言えないんだもの。
ダメじゃん。
平岡役の小林薫さんは、この映画で最優秀助演男優賞を受賞されたそうです。
明治、大正、昭和初期の男をやらせたら、この人の右に出る人いませんね。
向田シリーズで、久世光彦さんが、抜擢する気持がよく分かります。
映画は、現在の日常のテンポより、ゆっくりした間合いで作られています。
ゆっくりなテンポなのに、収まりが良いのが松田優作さん。
間があくと色々したくなるものでしょうが、松田さんは余計なことを何ひとつもせず、
実に堂々と存在しています。
良家の子弟である主人公の品格が良く伝わってきました。
三千代演ずる藤谷美和子さんは、美しいからこれでいい。
彼女のポートレートだけで、映画の雰囲気が出るのだから、存在価値があるということでしょ?
ぷっつんと言われ、芸能界から姿が見えなくなっちゃったけれど、こんなに憂いのある顔は稀少価値です。
そのほか、1シーン、2シーンだったけど、芸者役として泉じゅんさんや、川上麻衣子さんの姿も印象的。
イッセー尾形さんも怪優ぶりを面白かった。
原作の年齢とは違うけど、姪っ子役の森尾由美もカワイイ。
長井家本宅のロケ地が、鎌倉の旧華頂宮邸だったのも、ワクワクしました。
旧華頂宮邸は、3度訪れて3度とも閉館で、まだ一度も、見学できてないんですが、
年に2回、建物内も公開しているので、秋の公開日には是非とも見学したい所です。
【キャスティング】
松田優作(長井代助)、藤谷美和子(平岡三千代)、小林薫(平岡常次郎)
笠智衆(長井得)、中村嘉葎雄(長井誠吾)、草笛光子(長井梅子)
風間杜夫(菅沼)*作中回想シーンと、仏壇の遺影でのみ登場。
森尾由美(長井縫)、美保純(佐川の令嬢)、加藤和夫(佐川)、イッセー尾形(寺尾)
川上麻衣子(小染)、羽賀健二(門野)、一の宮あつ子(長井家の老女中)
泉じゅん(常次郎の女)、小林トシ江(髪結いの女)