Marco 知の鍵

ああ、ビブリア古書堂みたいな場所で一日中 本を読んでいたい。

『王妃の離婚』 佐藤賢一

 

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題 名 :王妃の離婚
著 者 :佐藤賢一
発 行 :集英社
発行日 :2002年05月25日
読了日 :2009年02月10日


 

離婚を強いられる王妃を果たして救えるのか。第121回直木賞受賞作

もうり また、どうしてフランス時代小説?
まるこ 本屋さんの棚から呼ばれたって感じかな。
もうり あるな、そういうこと。
まるこ 5世紀・フランス・宗教がらみ……。
ドロドロしていて暗い作品なんだろうと思ったんだけど、痛快でダイナミックな本でした。
著者は大学院時代に研究した知識を元に、フランスを舞台にした作品を書いている方らしい。
もうり 学者先生の小説か、小難しくなかった?
まるこ それが全然! 登場人物が生き生きしてるの。
大昔の、フランス人の、『お話』というんじゃなく実に臨場感がある。実際にその場所にいる気分にさせてくれる文章力ってあるじゃない? それなのよ。
もうり 読者に『そう感じさせる』のは凄い力量だな。
まるこ 主人公が住んでいた屋根裏部屋の匂い、暗さ、淀んだ空気の流れ、みたいなものが体感できたの。
恋人ベリンダの声まで聞こえてくるような…。
それで話が進み。こういう状況におかれたら、うんうん、わたしも怒るだろうなとか、嬉しいだろうなとかという風に、同調できる形で物語が進むの。
もうり そこまで物語に入りこめたら幸せだな。
まるこ 主人公フランソワ、これがいろいろ苦労してる人でね。学生時代の彼は、伝説化される程の秀才で、将来を有望視される存在だった。ところが“女”でつまづいちゃうの(笑)。
そういうと元も子もないわね、失礼。当時の『権力』に押しつぶされたって言う方が正しいかもしれないわ。

彼を不遇の田舎弁護士に落としめたのは、タイトルにもある王妃-ジャンヌの父、ルイ十一世。
或る日その王妃が裁判にかけられると聞いてフランソワは上京するの、憎き男の娘が苦しむ姿が見たかったんでしょうね。ところが法廷では、あまりにも不甲斐ない弁護団をあてがわれて、理不尽な裁判が行われていたの。彼は怒りを感じた「インテリは権力に屈したらだめだ」と。

偶然再会した後輩は、ソルボンヌ大学の副学長になってて。どえらい出世だわよね。
後輩の教え子たちからは「伝説の男に会えた」とキャーキャー言われて……。
そんなことが重なって、才気に燃えていた昔の自分を思い出したんじゃないのかしら。
弁護士魂に火がついた彼が、法廷で立ち上がり、こう言うの。
「スム・アドウォカートゥス・ノーウス・エゴ(新しい弁護士は俺だ)」と。

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